Episode1 伝えたいのに、伝えられない
「君はいつまでも魅力的だ」
3秒もかからず発声できるこの言葉がこうも言えないとは。
あ、普段の感謝も伝えていないな。
ワイシャツのアイロンがけみたいにわかりやすく面倒なものだけじゃなく、
トイレットペーパーの取替とか名前のない家事までやってくれているのに。
仕事で嫌なことがあって、不機嫌を家に持ち込む未熟な僕を、ただ何も言わずに見守ってくれているというのに。
恥ずかしいからと想いを伝えないまま、明日死んだら後悔するだろうな。
まずは手紙でも書いてみよう。
いや、便箋を埋めるほど想いを書き連ねるのは何か違う気がする。
そうだ、一言二言、メッセージカードに書いて渡そう。
まずは誕生日から、次は何でもない日。
そしていずれはメッセージカードでなく、言葉で伝えられたらいいな。